アクセンチュアという会社の感想

昨今アクセンチュアが採用数めちゃめちゃ増やしているので、就活中の大学生や転職中の方は一度は耳にする会社かなと思います。

 

ぼくがアクセンチュアに入社したのは2014年のときなのですが、2019年時点と比べて社員数は3分の1でした。(4000人→12000人)

それくらい最近の採用数が爆増しています。

 

ちなみにこれは日本に限った話じゃなく、世界のACCENTURE全体で起こっている話です。2014年時点で20万人近くいたのだけど、2019年時点では50万人を超えるハイパー大所帯となっています。

 

ぼくは一応アクセンチュアに6年も務めていたということで、入れ替わりの激しい業界であることも相まって、最後の方にはアクセンチュア歴の古い方から数えて15%くらいに入っていました。

 

そういうわけで、色んな人がいるので、色んな評判が立てられたりするわけです。

 

悪評が立てられたりすることもありますが、ぼく自身はアクセンチュアは素晴らしい会社だなと思っています。

あんまりポジティブな話ってネット上に広まらないので、そういう話を書こうかなと思います。

(従業員目線で書こうとしたのですが、書いてたら文量増えすぎてしまったので、まずはパート1ってことで会社に対しての評価です)

 

アクセンチュアGAFAに食い込む器の会社である

現時点の市場の評価

まず会社の素養についてです。ぼくはわりと真剣にアクセンチュアGAFAに食い込むほどのポテンシャルを持ってると思っています。

 

時価総額で見たときに、世界Top5は近年、GAFA+Microsoft で不動ですが、アクセンチュアは世界で2019年時点で65位くらいです。

同規模の会社でいえば、最近ちょっと伸び悩んでいますがIBMがほとんど同じ時価総額になります。そしてインドのTATAがすぐ後ろで追随してます。

ちなみに日本の会社でそれほどの規模の会社はトヨタのみです。(ソフトバンクが100位くらい)

 

そしてその時価総額は年々凄まじい勢いで上昇し、過去5年で時価総額が倍になっており、その流れはまだまだ続くんじゃないかなと思います。

 

 

業務巻取りの真意 

アクセンチュア社内に長くいて、 自分の仕事のことだけでなく会社のことも考えるようになってくると分かってくるのが、経営陣の際立つ優秀さとフットワークの軽さです。

 

アクセンチュアって人数多いから色んな人いるけど、やっぱり上層部は超優秀なんですよね。

これほどの大所帯でありながら、まだ世間がAIにそれほど注目していなかった10年ほど前のタイミングで明らかにビジネスをAIで変えるための布石を数々打っています。

 

技術力を持っている会社の買収を進め、社内業務でテスト的にAIを使った業務効率化を推し進め、AI/Digitalに特化した組織作りを行い、最初はマネタイズに苦労していたようですが徐々に売り上げを伸ばしています。

そして同時に、アウトソーシング(業務巻取り)の売り上げも急拡大させていきました。

 

これは明らかに意図された流れで、

この先の未来は間違いなくAIがホットトピックになっていくでしょう、そしてその中で一番力を持つのは「データ」を大量に保有している会社になります。

元々はSIで売っていた会社が急旋回でビジネスの舵を切ったのは、それを分かってのことでしょう。

 

結局AIの特に機械学習の観点で、プログラミングできる人は世界中にいるけれど、機械学習するためのインプットデータを大量に保有しているところは限られているのです。

 

GAFAは超優秀だけど、これらは基本的にはB to Cのビジネスであって、実はB to Bの巨大企業ってアクセンチュアが最大手に近い立ち位置にいます。

 

一般消費者に向けたAIの改革はこの先も続いていくでしょうが、生活の快適さという点で今後飛躍的に快適になる伸びしろは徐々に減っていってます。今でも十分快適になっていますから。

それより直近の大きな流れはビジネスに向けてです。

 

昨今アサヒグループの経理・人事業務のほとんどをアクセンチュアが巻き取ることになったというニュースが流れましたが、これはめちゃめちゃ大きな節目だったと思っています。

 

グループ管理部門の高度化に向け経理・人事業務の7割を外部に委託

https://www.asahigroup-holdings.com/news/2019/0614_1.html?fbclid=IwAR3PDaJIn3gTij966B19HbjEm2p97vFAqQwtF_9lGFwaE4SwEh8zypJ3UKM 

 

 

結局バックオフィス系の業務ってどの会社でも似たようなことをやっていて、極論ですがすべての会社のバックオフィス業務を担う巨大システムを作ることができます。

 

その巻取りを行っていくうえで重要になってくるのが、やはり「データ」です。

例えば帳票を読み取るということだけで見ても、色んな帳票のパターンを知っていれば知っているほどその精度が上がるわけで、管理業務のパターン・ノウハウを知っていてばいるほど巻取りの精度が上がっていきます。

 

バックオフィス業務を巻き取る、ということは要するにアクセンチュアとして、アクセンチュアの責務で色々業務効率化をテストできるわけですよね。

 

こういった業務をごっそり巻き取ってアクセンチュア内でシステム化して回す、ということはアサヒグループが昨今大きな規模のものでニュースに上がりましたが、既に多くのクライアントで実施されています。

 

この流れに少なくとも日系企業で太刀打ちできる会社はありません。業務巻取りは巻き取り当初は、引継ぎコストや障害対応等で赤字を垂れ流すことになり相当な企業体力が必要になるからです。

 

単なるRPAを使った1業務の効率化を行っている会社は山ほどいますが、そうでなく会社の部門単位での業務巻取りをこの速度でやっていける会社は世界でもそうはないでしょう。

 

 

アクセンチュアが変えようとしている未来(個人解釈) 

ぼくはアクセンチュアの経営陣当事者ではないので、あくまで個人の見解として。

 

最近内閣府が今後の社会の指針として、Society5.0という未来絵を提唱しました。

 

ざっくり言えば、これまでの情報はいつでも手に入るようになった情報社会から、AIをキーワードに一段とイノベーションが加速して、便利な世の中になるよーってことなんですが、最終的にはほとんどの業務や生活が自動化していくと思います。

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しかしそうなるには、まだまだ先の話でしょう。

進歩には段階があり、途中過程としてAIと人間の協働が起こります。

例えば大手航空会社では、空港のチェックインカウンターにAIを導入し、顧客対応においても半自動化が進んでいます。(ちなみにそれもアクセンチュアが導入してます)

これらのデータが蓄積されていけば、同業他社全てに汎用的に導入することも可能になるわけですね。

 

JALアクセンチュアと協力し、人工知能を活用した空港旅客サービスシステムを試験導入

 http://press.jal.co.jp/ja/release/201903/005100.html

 

これはまさに、人間とAIが協働しているいい例で、

最近話題の自動運転にしても、いきなり自動運転が導入されるのでなく段階を追って、AIがアシストする領域が広がっていくはずです。

 

今はまだ、ほとんどの人にとって生活の負荷として仕事が大きな割合を占めているでしょう。

そして今後その割合が徐々に減っていくことになるわけですが、その手段はテクノロジーのみではなく、やはりAIと人間との協働を経て徐々に進化していくのです。

 

AIと人間との協働は、一筋縄ではいきません。AIの進化に足並みをそろえて徐々に進めていかなければいかないのです。

 

そういう意味で、業務巻取りをする意味はとてつもなく大きい。

なぜなら、自社内で進めようとすると首にする人員が必ず出てくるので臨機応変に進めていくことは困難であるけれど、業務委託としてすべて巻き取ってしまえば、AIの進化を進めていくことが即ち利益に直結するからです。

 

アクセンチュアの上層部がどこまでの具体的な絵を描いているのかは分からないですが、間違いなくビジネスを変える世界的な立役者として影で暗躍する会社の一つになるだろうと思っています。

 

最後に

私は2014年から丸6年ほどアクセンチュアにいて、この6年間でアクセンチュアを取り巻く環境が大激変していました。

そのダイナミックさを少しでも共有し、なにかと悪評の立ちやすいアクセンチュアの社会にとってのいい面を伝えられればうれしいなと思います。

 

これからアクセンチュアに入ろうとする人も多いと思いますが、会社そのものとしては非常に優秀な会社です。

とはいえ、じゃあAmazonという先進的な会社にいる人でも末端の作業している人は、別に普通の仕事だよねっていうのと一緒で、従業員として入るとまた全然感じ方が違うかもしれません。

 

従業員目線でのアクセンチュアの働き方についての記事はまた別で書かせてください。

 

そんなかんじでー長々と失礼しました